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東京地方裁判所 昭和23年(ワ)2227号 判決

原告 株式會社富士銀行

被告 多摩清掃株式會社 外八名

一、主  文

原告に対し被告多摩清掃株式会社、櫻井正男、永光又三は連帶して金五万六千六百四十三円二十四銭及び之に対する昭和二十年七月十六日から完済迄年六分の割合の金員を、被告小俣たまは内金一万八千八百八十一円八銭及び之に対する右同日から完済迄右同率の金員を、被告小俣一郎、小俣次郎、小俣四郎、小俣五郎、小俣みつ子、秋山のり子は各内金六千二百九十三円六十九銭及び之に対する右同日から完済迄右同率の金員を、夫々前記被告三名と連帶して、これを支拂え。

原告その余の請求はこれを棄却する。

訴訟費用は被告等の負担とする。

原告に於て被告多摩清掃株式会社、櫻井正男、永光又三に対し金二万三千円、その余の被告等に対し金八千円の担保を供託すれば本判決第一項の部分を仮に執行することができる。

二、事  実

原告訴訟代理人は、「原告に対し、被告多摩清掃株式会社、櫻井正男、永光又三は金五万六千六百四十三円二十四銭及びこれに対する昭和二十年七月十六日から完済迄年六分の割合の金員を、被告小俣たまは内金一万八千八百八十一円八銭及びこれに対する右同日から完済迄右同率の金員、被告小俣一郎、小俣次郎、小俣四郎、小俣五郎、小俣みつ子、秋山のり子は各内金六千二百九十三円六十九銭及びこれに対する右同日から完済迄右同率の金員を、いずれも連帶して支拂え、訴訟費用は被告等の負担とする」との判決並に仮執行の宣言を求め、その請求原因として、被告多摩清掃株式会社は昭和十九年七月三十日原告(当時の商号は株式会社安田銀行)と極度額を金十万九千八百円とする手形取引契約を締結し被告櫻井正男、永光又三及び訴外小俣寅造は右契約による右被告会社の手形債務に付同日連帶保証をした。而して被告会社は右契約に基き原告を受取人とし昭和二十年五月十七日(一)金額三万四千円、満期同年七月十五日、振出地東京都、支拂地東京都麹町區、支拂場所株式会社安田銀行なる約束手形一通、(二)小俣寅造を共同振出人とする金額三万六百円、その他の記載右同様の約束手形一通、(三)右寅造を共同振出人とする金額三万四千円、その他の記載(二)の手形と同様の約束手形一通を振出し、原告はこれが所持人となつた。よつて原告は右手形を夫々満期の翌日支拂場所に呈示して支拂を求めたところ被告会社はその支拂を拒絶したのであるが、同会社はその後(一)の手形金中一万一千九百五十六円七十六銭(二)の手形金中三万円を支拂いその余の支拂をしなかつた。そして小俣寅造は昭和二十二年十月十日死亡したのでその妻被告たま及び嫡出子たる被告一郎、次郎、四郎、五郎、みつ子、のり子は夫々法定の相続分に應じ寅造の右保証債務を承継した。

よつて被告等に対し請求の趣旨記載の如く手形金残金及びこれが満期翌日以降完済迄手形法所定の利息の支拂を求める爲本訴に及んだと述べた。<立証省略>

被告多摩清掃株式会社代表者並被告永光又三は、原告の請求を棄却するとの判決を求め、答弁として原告及被告会社間の手形取引契約、手形の振出乃至手形金内拂に関する事実は不知、連帶保証の事実は否認する、相続関係の事実は認めると述べた。<立証省略>

被告櫻井正男は原告の請求を棄却するとの判決を求め、答弁として原告及被告会社間の手形取引契約及連帶保証の事実並に相続に関する事実は認めるがその余の原告主張事実は不知と述べた。<立証省略>

被告小俣たま以下七名の訴訟代理人は、原告の請求を棄却するとの判決を求め、答弁として、小俣寅造の死亡及び同被告等の相続の事実は認めるがその余の原告主張事実は不知と述べた。<立証省略>

三、理  由

被告多摩清掃株式會社が原告主張の日に原告と原告主張のような手形取引契約を締結したこと及び被告櫻井正男、永光又三、訴外小俣寅造三名が右契約による被告会社の手形債務に付連帶保証をしたことは被告櫻井正男に於ては爭なく、被告櫻井正男の供述、同供述及び成立に爭のない甲第五、六、七号証に照し眞正に成立したと認められる(小俣たま以下の被告に於ては成立に爭がない)同第四、第八号証を綜合すれば、その余の被告等に対しても右事実を認めることができる。右認定に反する被告永光又三の供述はにわかに措信できない。

而して証人松沢卓二、被告櫻井正男の各供述及び右供述により眞正に成立したと認められる甲第一、二、三号証の各一、二によれば被告会社は右契約に基き原告主張の日に原告主張のような約束手形合計三通を原告宛振出し原告がその所持人となつたこと、原告が満期の翌日に右手形を支拂場所に呈示して支拂を求めたが拒絶せられたこと及びその後原告主張の如く右手形金の内拂があつたことを認めることができるのであり、小俣寅造の死亡により小俣たま以下の被告七名が寅造の妻もしくは嫡出子として寅造の遺産相続をしたことは当事者間に爭がないのであるから、同被告等は寅造の右手形残金の連帶保証債務を法定の相続分に應じて、即ち被告たまは三分の一金一万八千八百八十一円八銭、一郎以下の被告は残額の各六分の一金六千二百九十三円六十九銭の限度に於て承継したものとゆうべきである。而して商法第五百十一條第二項によれば債務が主たる債務者の商行爲により生じたときは保証人相互の間にも連帶して債務を負担せしめる趣旨であることがうかがわれるのであり、本件手形債務が被告会社の商行爲により生じたものなることはゆうまでもないのであるから、右被告等は右相続債務を被告会社とはもちろん、被告櫻井、永光両名とも連帶して支拂うべき義務あるものであるが、金銭債務は相続と共に相続分の割合に應じて分割債務となるのであり、相続債務が連帶債務もしくは手形債務の場合でもなんら異るところがないのであるから、右相続人たる被告相互の間には連帶支拂の義務なきものといわねばならない。

よつて被告多摩清掃株式会社、櫻井正男、永光又三は右手形残金全額五万六千六百四十三円二十四銭及び之に対する満期の翌日たる昭和二十年七月十六日から完済迄手形法所定年六分の割合の利息を連帶して又被告小俣たまは内金一万八千八百八十一円八銭及び之に対する右同日から完済迄右同率の利息を、その余の被告等は各内金六千二百九十三円六十九銭及び之に対する右同日から完済迄右同率の利息を、夫々被告会社及櫻井、永光と連帶して、原告に支拂うべき義務あるものであつて、原告の本訴請求はこの限度では正当であるが被告たま以下七名の被告相互に付連帶支拂を求める部分は失当として棄却すべく、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第九十二條、仮執行の宣言につき同法第百九十六條を適用し主文の如く判決する。

(裁判官 北村良一)

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